韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は2026年5月18日、総額504億ウォン(約55億円)を投じる「K-AIヒューマノイドプログラム」の始動を正式発表した(Seoul Economic Daily)。同プログラムは、国産ヒューマノイドロボット技術の研究開発から実証展開までを一貫して支援する韓国初の包括的な国家計画であり、MSITが予算配分と成果管理の中心機関を務める。
LG Electronicsと韓国のロボティクス専門企業WIRoboticsが中核民間パートナーとして選定された。LGは自社のCLOiDプラットフォームを通じた大規模訓練データ収集・AI学習インフラを提供し、WIRoboticsは下半身アシスト技術やアクチュエータ開発で実績のある技術知見を持ち込む形での分業体制が予定されている。
ソブリンAI戦略の文脈
K-AIプログラムは、韓国政府が推進する「ソブリンAI」戦略の一環として位置づけられる。海外プラットフォームへの依存を低減し、ヒューマノイドロボットの基盤モデルと訓練データを国内で確保することが最優先課題とされている。特に、NVIDIAのIsaac GR00Tに代表される海外製フィジカルAIスタックに対抗できる国産基盤の構築が意識されている。
プログラムの実施スケジュールと評価指標
プログラムは2026〜2028年の3カ年計画で実施される。第一フェーズ(2026年)では研究開発コンソーシアムの組成とパイロット実証環境の整備に注力し、第二・第三フェーズで商業展開とグローバル輸出基盤の確立を目指す。評価指標としては特許取得件数、試作ロボットの実証稼働率、および民間企業による追加投資額が設定されると報じられている。
アナリストは、504億ウォンという規模は中国の国家投資と比べて小さいものの、韓国の強みである半導体・ディスプレイ・バッテリーのサプライチェーンと組み合わせることで高い費用対効果が期待できると指摘する。LGの製造ノウハウとWIRoboticsの技術力の組み合わせが、どの程度の差別化要因になるかが今後の注目点だ。