LGエレクトロニクスは2026年6月11日、ソウル市瑞草区良才洞に「CLOiDデータファクトリー」を正式開設した(Chosun Ilbo)。同施設はヒューマノイドロボットの動作学習・強化学習に必要な高品質の行動データを体系的に収集・キュレーションするための専用インフラとして設計されており、韓国国内では初の本格的なフィジカルAI訓練データ生産拠点となる。

Korea Heraldによると、施設内には多数のモーションキャプチャカメラ、力覚センサーアレイ、3Dスキャン環境が設置されており、人間のデモンストレーターがCLOiDロボットに動作を「教示」する形でデータ収集が行われる。LG Electronicsが提供するクラウドAIインフラとの連携により、収集データはリアルタイムで処理・ラベリングされ、モデル学習に供される仕組みだ。

なぜデータファクトリーが重要か

ヒューマノイドロボットの実用化における最大のボトルネックの一つが訓練データの不足だ。テキストや画像のAIモデルと異なり、フィジカルAIは実世界の物理的インタラクションデータを大量に必要とする。シミュレーターによる合成データは有用だが、現実環境への転移(sim-to-real gap)の問題は解決済みではなく、実データとの組み合わせが不可欠とされている。CLOiDデータファクトリーはこのギャップを埋める実データ供給源として機能する。

CLOiDプラットフォームとK-AIプログラムとの連携

CLOiDデータファクトリーは、韓国政府の「K-AIヒューマノイドプログラム」との連動も想定されている。LGが同プログラムの中核民間パートナーとして選定されていることから、ファクトリーで収集されたデータは国家プロジェクトの学習リソースとしても活用される見通しだ。データ主権の観点では、国内で生成・管理される訓練データは韓国のソブリンAI戦略にとって重要な資産となる。

LGの取り組みはNVIDIAのIsaac GR00TやGoogleのOpen Xなど海外主要プラットフォームと補完関係にある。CLOiDデータを独自フォーマットで蓄積しつつ、オープン標準との互換性を保つ戦略が、韓国発のヒューマノイドエコシステム形成に向けた重要な試金石となろう。

ソース
Chosun IlboKorea HeraldLG Electronics